勇者と呼ばれた男のブログ

勇者と呼ばれた男の半生を綴ります。初めての方は一番初めの記事の「初めに」をお読み下さい。

勇者の半生~第8話

照りつける太陽

 

鳴り止まない蝉の鳴き声

 

明にとって小学校生活初めての夏休みが来た。

 

教室の机の中身や荷物を全て持ち帰る任務とその後夏休み中にこなさなくてはいけない宿題の量に絶望しつつも明日から始まる長き休みに期待を膨らませていた。

 

終業式の校長先生による長~い話を耐え忍び下校のチャイムと共に大量の荷物から解放される為に大急ぎで帰る。

途中で荷物の重さに耐えきれず半泣きで普通に歩きながら。

 

帰るとちょうど母が昼飯を仕込んでいた所で先生から預かった家族宛のプリントと提出しいよいよ夏休みが始まると思ったが

 

「通知表は?」

 

これだ

 

夏休み、冬休み、春休み、この3つの大型連休を迎える前に通らなくてはいけない大きく堅牢な関所。

 

明は焦った。子供ながらに超焦った。

 

明の小学校の評価方式は3段階評価で

大変よい、よい、もう少しの3つ。

 

明は学校で通知表を受け取り中身を見た時、

もう少しの多さに呆然とした。

元々賢い子供では無かった明でもこれの重大さはわかる。

これを家族に見せて良いのだろうか。

いや見せなくてはいけない物なのだが。

 

母に催促され半ば諦めつつも恐る恐る通知表を手渡す。

 

「…」

 

緊張が走る。

 

「宿題ちゃんとやりなさいよ」

 

あれ?終わった?

「はい」と拍子抜けた返事をしてとりあえず荷物を片付けて早速宿題に取りかかりさっと飽きて手を止める。

 

先が思いやられる。

ここで祖母に呼ばれ向かうとタバコのお使いを頼まれた。

当時は自動販売機にtaspoの様な認証カードも無かった為誰でも買えたのだ。

正直面倒だと思ったが500円玉を渡されお釣りはあげると言われたら断る理由も無くなりすぐに買いに行く。

お使いを済ませるとちょうど昼飯が出来た頃で母の作った野菜大盛りの焼きそばが出された。

学校が早く終わる日に家で食べる昼飯とは何故あんなに旨かったのだろう。

しっかり完食し祖母からもらったお釣りで買ったコーラを勢い良くプシッと開けゲームのの電源を入れる。

至福の一時は明に時間と宿題の存在を忘れさせた。

そして夕方に父が帰ってきてこう言った。

 

「通知表を見せなさい」

 

明は忘れていたものを全て思い出した。

母が通知表を見て何も言わなかったのもこうなる事がわかっていたからなのだろう。

案の定こっぴく叱られ明は泣く泣く宿題に取りかかるのであった。

 

 

勇者の半生~第9話に続く